第103回研修会 介護保険改正の動きと問題点について学ぶ
2月22日(土)13:30より、ひと・まち交流館京都において103回目の研修会を開催しました。講師は京都府保険医協会事務局次長の中村暁さん。「社会保障制度は国家の責任で人々の『生存権』を守るための仕組みである。1950(昭和25)年、厚生省は自ら社会保障制度審議会の勧告でそれをはっきり謳った」と始められ、現在の介護保険制度を大きな「社会保障制度」変遷の歴史の中で捉えた解説を、熱く語って頂きました。
元々社会保障制度は《国による国民の生命と健康を保障する制度》だったはずが、国は権利としての社会保障制度を後退させ破壊し続けていると厳しく指摘。これらの制度が大きく変えられ始めたのは1995年、同じ社会保障制度審議会の「95年勧告」以降。介護の社会化を謳った「介護保険制度」も、最初は大変期待されましたが程なく問題が次々と明らかになってきました。
2019年12月、「全世代型社会保障検討会議」は中間報告を取り纏め、少子高齢化・人生100年時代・ライフスタイルの多様化に対応するため年金、労働、医療、介護など社会保障全般にわたる持続可能な改革を、と謳っています。生産年齢人口が減少する中で就業者数を維持するための方策として「一億総活躍社会」を打ち出し、高齢者を高齢者として扱わない宣告がなされたと講師は憤ります。
地域共生社会が謳われていますが、国が医療・福祉を社会保障として提供する機能を後退させ、「地域の危機は住民自らが助け合って生きよ」という宣告に思えると指摘。今こそ福祉国家型の「権利としての介護保障」を組み立て直す必要があるのではないか、その視点から介護保険制度をめぐる動きを見る必要があるというお話に一同深くうなずかされる研修会でした。
研修会資料を中村先生ご了解のもと添付しています。ご覧ください。
第103回研修会資料 20200222