研修会報告 ドイツの介護保険から学ぶ、権利としての介護保障
11月23日(土)13:30より、ひと・まち交流館京都において101回目の研修会を開催しました。講師は龍谷大学教授の木下秀雄さん。日本の介護保険制度を検討する際、スウェーデンは公費、ドイツは保険方式ということで、先生もドイツ方式の紹介を求められたこともあったとのこと。「私はドイツ方式が良い」という立場ではないとおっしゃりながらも、「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」という言葉を借りて「北欧には及びもせぬが、せめてなりたやドイツに」という心境ですと何度か語っておられました。
その理由の一つは、ドイツは介護保障が「介護保険」と「介護扶助(公的補助)」で制度設計されていること。たとえば要介護者が施設入所する際、要介護度に応じた必要な経費は施設が決め、それに対し介護保険で不足する場合は年金で自己負担、それで不足する分は介護扶助で保証されるし、待機者もいない。ということは介護が必要で在宅介護が難しくなった時は受入先があるということが安心材料になります。また在宅給付では現金と現物を選べるが、今は8割くらいが現金給付を選んでいる。家族の介護を就労としてみなし社会的に評価する形がとられているが、この点について日本でも検討する時期に来ているのでは、というお話でした。介護労働者は未組織の人が多いということですが、産業別労働組合の影響で一定の労働条件が確保されているとのことでした。
介護保険料は上がる一方なのに介護サービスは利用しにくくなり、介護現場の働き手が得られず危機に直面している日本。私たちにとって参考になる内容がたくさんあって充実した研修会でした。講演のあとの質疑応答、グループ討議も活発に行われました。