第100回研修会 団士郎さんと考える「介護と家族」報告

9月28日(土)13:30より、ひと・まち交流館京都において100回目の研修会を開催しました。講師は前立命館大学大学院教授で『仕事場D・A・N』を主宰されている団士郎さん。専門は家族心理療法で、家族相談のカウンセラーとしても活躍されてきました。「今日の話を楽しんでもらいたい」という言葉で始まったお話は、軽妙な語り口で受講者の笑いを誘いながら、家族のありようについて深く考えさせられる内容でした。
今日は介護と家族というテーマだが、介護だけが人生とか、介護のことだけ知っていたらよいと思う人はいない。家族には高齢者問題も、夫婦問題も、子育て問題も、不妊治療問題も、DV問題も、児童虐待も、病人・障がい者問題も何でもある。その一つだけを取り上げるのは疑問。まずは「家族理解」が支援・援助になるということを知って欲しい。
「起きたこと」に対しては、その問題や症状・病状が気になるし、原因をさぐることに一生懸命になって、結果、そのことばかり考えることになる。これでは大した成果は上がらない。一方、「起こらずに済んだこと」に注目することは少ない。なぜなら起こっていないから。しかし起こらずに済んでいるあらゆることに対し、良かった、上手くいったと認め、褒め、言語化することが大切である。特に家族の中で「よくやってるね」の一言はお金もかからないし、言われた方は気持ちが良くなる。このような家族が増えることが望ましい。
私たちが暮らす世界はいろんなことが複合して出来上がっている。原因と結果を固定的に分けずに、相互に関係しながら変わっていくというシステム論という考え方もある。思い込まない、決めつけないことが大切。
などなど、これからの家族との関わり方、あるいは対人支援・援助の活動に役立つヒントがたくさん得られた内容でした。

 

 

 

講演のあとはコミュニケーションの中で「聞くことの持つ意味」を実感するエクササイズ。2人一組で、各々が「最近気になること」を4分間しゃべります。聞く側は、1分半はbadな態度(スマホをいじったり他を見たり)、2分半はgoodな態度(集中し、うなずくなど)で、その差によるしゃべり手の気持ちの変化を話し合いました。goodな態度で聞くことが「理解」を深めることを体験しました。

 

 

 

 

団士郎さんは学生時代からサンケイ新聞に連載するほど漫画が得意だったとのこと。それを生かして東日本大震災支援で始めたマンガエッセイ「木陰のものがたリ」は今年で第9集になり累計9万部発行になる活動をされています。マンガをアニメ化したものが、ユーチューブで見ることができることも紹介されました。